2024.05.16
ここ数年、台風の大型化や集中豪雨といった自然災害が増え、その被害も深刻化しています。また、能登半島や愛媛・高知、台湾などで、大きな地震も頻発。いつ起こるか分からない災害への準備が必要だと思っている方も多いのではないでしょうか。
5月25日(土)・26日(日)に開催される「レイクタウン防災フェス」は、子どもから大人まで楽しく防災を学べる、首都圏最大級の市民参加型防災イベントです。この防災フェスの事務局であり、地域のエコ化や企業の社会貢献活動を支援するピース・コミュニティ・プラン代表取締役社長の堀田晃弘さんと、NPO法人ビーグッドカフェの理事である坂本千春さんを訪ね、防災フェスを始めたきっかけや思いを伺いました。
「レイクタウン防災フェス」について教えてください。
堀田晃弘さん(以下、堀田)
「ほんもの体験!楽しく学ぼう!」をテーマに、災害や防災に関する正しい知識と、日ごろからご家庭でできる防災の備えを学べる情報発信やワークショップを開催しています。2012年にスタートし、今年で12回目を迎えます。
埼玉県や越谷市、越谷市消防局などの行政や防災機関、イオンをはじめとしたさまざまな企業、地域のNPOや大学といった市民団体や地域住民など、30団体以上が参加しています。消防や警察、自衛隊の特殊車両が40台以上も集まるほか、レスキュー体験、気象実験、ドローンの操縦、防災グッズの実演などのワークショップも人気です。昨年は2日間で約8万7,000人が来場しました。
災害と備えを知り、体験することで、一人ひとりのライフスタイルにあわせた「オーダーメードの防災」を推進していき、地域の防災力を高めていきたいという思いがあります。
「レイクタウン防災フェス」が始まったきっかけを教えてください。
坂本千春さん(以下、坂本)
2008年にレイクタウンという新しいまちが誕生した当初から、イオンレイクタウンは環境やアートをテーマに地域とのつながりづくりを進められていました。2011年に起こった東日本大震災をきっかけに、地域の防災にも取り組んでいきたいと私たちに相談があり、行政や地域と協力しながら、定期的に防災イベントを開催することになりました。
よくある防災イベントとの違いは何でしょうか?
堀田
2012年当時、行政や企業、地域が一つになった防災イベントは、ほとんど開催されていませんでした。もちろん、行政や地域主催の防災訓練はありましたが訓練がメインで、興味のある人だけが参加するという課題がありました。誰でも気軽に、楽しみながら防災について学べる防災フェスは画期的で、今では、越谷市を中心に、近隣の吉川市や草加市、川口市、さらに、千葉や都内などからもお越しいただけるイベントになりました。
開催までにどのようなご苦労がありましたか?
堀田
当時は、商業施設の敷地内で行う防災イベントは前例がなく、最初にお話しにいった際は、行政や公共の訓練でないと参加できないと断られることもありました。最初は消防車も1台でしたし、参加団体も数社
……。行政、企業、地域が一体となる意義を何度も説明し続け、参加団体が徐々に増え、5年ほどで今と同じ規模に成長しました。
坂本
今では東京電力などのインフラ系企業にも参加していただけるようになりました。今は公衆電話の使い方が分からないお子さんも多いので、NTTによる公衆電話の体験ブースも人気です。参加企業の幅も広がり、イオンレイクタウンのテナントであるアウトドアショップや、イオンペットなどにも参加いただいています。
「レイクタウン防災フェス」ならではの見どころと言うと。
堀田
消防車はもちろん、普段はなかなか見られない給水車や水陸両用車など、災害時のインフラを支える特殊車両の種類や台数が多く、実際に試乗できるのは魅力ですね。普段は1,000台ほどが入る駐車場に、消防や警察・自衛隊の車両、高所作業車や通信車両といった特殊車両40台以上が、ずらっと並んだ姿は壮観です。2022年は防災ヘリコプターの離着陸、2023年はアウトレットの屋上から消防局の降下訓練も行い、来場者から大きな歓声が上がりました。
坂本
あまりにもたくさんの消防車両が集まるので、119番の応援要請を受け、イベント会場から現場に出動した車両もありました。サイレンを鳴らし、出発する車両に「がんばって」と手を振りながら声をかける子どもたちが印象的でした。
参加された皆さんの反応はいかがですか?
堀田
「地元の防災訓練に参加しようと思う」「家の防災グッズや備蓄品を見直してみる」と言ってくださる方が多いですね。真面目な訓練も必要ですし、楽しみながら情報発信することも必要だと改めて感じました。周辺の自治会からは、「毎年5月に開催することで、防災を意識する習慣につながっている」と言ってくださり、地域のお役に立てているのがうれしいですね。
イオンレイクタウンは、防災に対してどのような取り組みをされているのですか?
堀田
越谷市とイオンは包括連携協定を結んでいます。「水郷こしがや」と呼ばれる越谷市には多くの河川が流れ、古くから水害の多い地域でした。河川の氾濫が予想されると、イオンレイクタウンの立体駐車場を車の避難場所として開放するほか、災害時にはさまざまなサポートをしています。
防災フェスにあわせて、防災グッズの販売もあるのでしょうか?
堀田
防災グッズや、災害時に使えるアウトドアグッズなどはイベント会場の他、イオンレイクタウンの各店舗で買うことができます。備蓄には、レトルト食品や缶詰めなどを少し多めに買って、使ったら買い足すことで、常に一定量を備蓄する「ローリングストック」という方法もあります。保存食って、気づいたら賞味期限が切れていたり、食べたら口に合わなかったりすることもあるので、まずはローリングストックから始めてみるのもいいかもしれませんね。
坂本
小さなお子さん、年配の方、女性など、防災グッズは人によって必要なものが異なります。防災フェスでは、遊びながら自分に必要な防災グッズが分かるカードゲームなどもあるので、ぜひ参加してみてください。また、災害時は電気が貴重なので、電気を使わず楽しめるカードゲームやトランプがあると、避難所などで過ごす際に役立つことがあります。防災フェスで学んだ必要なものを、その場で買って帰れるのも、日常生活の延長線上にあるショッピングモールで行う防災フェスのメリットだと思います。
今後の目標を教えてください。
堀田
日本で1番の大型防災フェスにしたいですね。規模が大きくなることで、より多くの方々に防災意識を高めていただけると思います。地域の団体や、防災に取り組んでいるイオンレイクタウンのテナントにももっとご参加いただけるとうれしいですね。
災害リスクを減らすことは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標11「住み続けられるまちづくり」に、行政や地域、企業が連携し協力することは、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献します。防災はSDGsとの関連も深く、わたしたち1人1人が防災に取り組むことで、SDGsの目標達成にも貢献できることも発信していきたいです。
坂本
「レイクタウン防災フェス」が先駆けとなって、各地にこういった防災の取り組みを広めていきたいですね。また、防災フェスでは消防局の訓練披露や救助体験があり、消防団員の募集なども行っています。消防をテーマにした小学校の副教材に防災フェスを紹介してもらったこともあり、このイベントが将来、自分たちの地域を守る人を育てるきっかけになってくれたらうれしいです。
最後に、お客さまへメッセージをお願いします。
堀田
今年は能登半島地震の復興支援のため、自衛隊や移動式トイレトレーラーといった一部の特殊車両が来られませんが、その代わりに、消防関連の内容をさらに充実させる予定です。さらに、警察の多目的災害支援車「ウニモグ」が、10年ぶりに登場します。スタンプラリーや楽しいワークショップも満載で、楽しみながら防災を学べるイベントです。みなさまのご参加をお待ちしております。